秋の訪れとともに、日本各地は美しい紅葉で彩られます。鮮やかな赤や黄色、オレンジに染まった山々や渓谷は、まさに自然が織りなす芸術作品です。この季節だけしか見ることのできない絶景を求めて、全国から多くの観光客が足を運びます。今回は、2025年最新の情報をもとに、紅葉が特に美しい国内旅行のおすすめルートを10選ご紹介します。
1. 京都・嵐山エリア周遊ルート
渡月橋から天龍寺までの王道コース

京都の秋といえば、やはり嵐山エリアは外せません。桂川にかかる渡月橋から眺める嵐山の紅葉は、まさに絵画のような美しさです。例年11月中旬から12月上旬にかけてが見頃となり、赤や黄色に染まった山々が川面に映る姿は息を呑む美しさです。
渡月橋を起点に、まずは竹林の小径を散策しましょう。青竹と紅葉のコントラストが美しく、インスタ映えする写真が撮影できます。その後、世界遺産の天龍寺へ向かいます。天龍寺の曹源池庭園は、借景として嵐山を取り入れた池泉回遊式庭園で、紅葉の時期は特に見事です。境内の紅葉は約300本あり、カエデやイチョウが織りなす色彩美は圧巻です。
おすすめスポットとアクセス情報
嵐山エリアは、JR嵯峨嵐山駅、阪急嵐山駅、京福嵐山駅の3つの駅からアクセス可能です。紅葉シーズンは混雑が予想されるため、平日の早朝や夕方の時間帯がおすすめです。常寂光寺や二尊院なども近くにあり、1日かけてゆっくりと紅葉狩りを楽しむことができます。
トロッコ嵯峨駅から亀岡駅までの嵯峨野トロッコ列車も、保津峡の紅葉を車窓から楽しめる人気のアトラクションです。事前予約が必要ですが、25分間の優雅な紅葉観賞が楽しめます。
2. 富士五湖・河口湖紅葉回廊
富士山と紅葉の絶景コラボレーション
山梨県の河口湖エリアは、富士山と紅葉を同時に楽しめる贅沢なスポットです。河口湖北岸の紅葉回廊では、約60本のもみじが美しいトンネルを作り出し、11月上旬から中旬にかけて見頃を迎えます。夜間のライトアップも実施され、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を演出します。
河口湖畔からは、湖面に映る富士山と紅葉の「逆さ富士」を撮影することができます。特に早朝の風が穏やかな時間帯は、鏡のように静かな湖面に美しい景色が映り込みます。また、河口湖ハーブ館周辺や大石公園からの眺めも絶景です。
周辺観光スポットとグルメ情報
河口湖周辺には、忍野八海や山中湖、本栖湖など、他の富士五湖も点在しています。レンタカーを利用して湖巡りをするのもおすすめです。各湖では異なる角度から富士山を眺めることができ、紅葉との組み合わせで様々な表情を楽しめます。
グルメでは、富士山麓の清らかな水で作られる吉田うどんや、河口湖名物のほうとうが有名です。寒い秋の日には、温かい郷土料理で身体を温めながら、紅葉観賞の疲れを癒すことができます。
3. 栃木・日光エリア絶景ルート
いろは坂から中禅寺湖までの紅葉ドライブ
栃木県日光市のいろは坂は、日本屈指の紅葉ドライブコースとして知られています。48のカーブを持つこの山道は、9月下旬から10月中旬にかけて、カエデやナナカマド、ブナなどが美しく色づきます。標高差があるため、長期間にわたって紅葉を楽しむことができるのも魅力の一つです。
中禅寺湖畔では、湖を囲む山々の紅葉が水面に映り込み、まるで天然の万華鏡のような美しさを演出します。華厳の滝も必見スポットで、高さ97メートルから流れ落ちる滝と周囲の紅葉が織りなす景観は圧巻です。
東照宮と紅葉の歴史的コラボレーション
日光東照宮では、徳川家康の霊廟を彩る紅葉も見どころです。陽明門や五重塔など、歴史的建造物と紅葉のコラボレーションは、日本ならではの風情を感じさせてくれます。境内には約1000本のカエデがあり、11月上旬から中旬にかけて美しく色づきます。
また、日光江戸村では、江戸時代の町並みと紅葉を同時に楽しむことができ、タイムスリップしたような不思議な感覚を味わえます。忍者ショーや花魁道中などのイベントも開催され、家族連れにも人気です。
4. 長野・上高地アルプス紅葉トレッキング
梓川沿いの絶景ハイキングコース
長野県の上高地は、北アルプスに囲まれた標高1500メートルの高原で、9月下旬から10月上旬にかけて美しい紅葉を楽しむことができます。河童橋から眺める穂高連峰と梓川、そして周囲を彩る紅葉は、まさに日本の原風景とも言える絶景です。
大正池から河童橋までの約3.3キロメートルのハイキングコースは、初心者でも歩きやすく整備されています。途中、明神池や岳沢湿原など、様々な表情の紅葉を楽しむことができます。特に、カラマツの黄金色の紅葉は上高地ならではの美しさです。
高原リゾートでの滞在プラン
上高地帝国ホテルや上高地アルペンホテルなど、リゾートホテルでの宿泊もおすすめです。朝霧に包まれた幻想的な紅葉や、夕日に照らされた山々の美しさを、時間をかけてゆっくりと楽しむことができます。
また、新穂高ロープウェイを利用すれば、標高2156メートルの展望台から360度のパノラマ紅葉を楽しむことができます。ここからの眺めは、まさに雲上の世界で、普段見ることのできない絶景が広がります。
5. 青森・奥入瀬渓流紅葉散策ルート
14キロメートルに及ぶ渓流美の宝庫
青森県の奥入瀬渓流は、十和田湖から流れ出る美しい渓流で、約14キロメートルにわたって様々な滝や奇岩が点在します。10月中旬から下旬にかけて、ブナやカエデ、ナナカマドなどが鮮やかに色づき、水の流れと紅葉のコントラストが絶妙な景観を作り出します。
銚子大滝や阿修羅の流れ、九段の滝など、名前の付いた見どころが多数あり、それぞれ異なる表情の紅葉を楽しむことができます。特に、苔むした岩や倒木と紅葉の組み合わせは、まるで妖精の住む森のような神秘的な雰囲気を醸し出します。
十和田湖との組み合わせで楽しむ2日間プラン
奥入瀬渓流と十和田湖を組み合わせた2日間の旅行プランもおすすめです。1日目は十和田湖畔のホテルに宿泊し、湖上からの紅葉観賞を楽しみます。遊覧船からの眺めは、陸上からでは見ることのできない角度から紅葉を楽しむことができます。
2日目は奥入瀬渓流をゆっくりと散策します。レンタサイクルも利用でき、効率よく見どころを回ることができます。また、地元の食材を使った郷土料理も楽しみの一つで、きりたんぽ鍋や十和田バラ焼きなど、青森ならではのグルメも堪能できます。
6. 岐阜・白川郷&飛騨高山紅葉ルート
合掌造りと紅葉の日本の原風景
岐阜県の白川郷は、世界遺産に登録された合掌造りの集落で知られていますが、秋の紅葉シーズンも格別の美しさを誇ります。10月下旬から11月上旬にかけて、茅葺き屋根の合掌造りの家々を囲むように、カエデやブナが美しく色づきます。
荻町城跡展望台からの眺めは特におすすめで、集落全体と周囲の山々の紅葉を一望することができます。夕日に照らされた合掌造りの家々と紅葉のコラボレーションは、日本の原風景そのものです。ライトアップイベントも開催され、幻想的な夜の紅葉も楽しむことができます。
飛騨高山での古い町並み散策
白川郷から車で約1時間の飛騨高山では、江戸時代の面影を残す古い町並みと紅葉を同時に楽しむことができます。三町通りや宮川朝市周辺では、伝統的な建物と紅葉が調和した美しい景色を見ることができます。
飛騨牛や高山ラーメン、みたらし団子など、地元グルメも充実しています。特に、肌寒い秋の日には、温かい飛騨牛まんや高山ラーメンが体を温めてくれます。また、地酒の酒蔵見学も人気で、紅葉を眺めながらの日本酒の試飲は格別です。
7. 群馬・草津温泉&榛名湖紅葉ルート
温泉と紅葉の癒しのコンビネーション
群馬県の草津温泉は、日本三大名湯の一つとして知られていますが、秋の紅葉も見事です。10月中旬から11月上旬にかけて、温泉街を囲む山々が美しく色づき、湯畑周辺でも紅葉を楽しむことができます。温泉に浸かりながら紅葉を眺める露天風呂は、まさに極楽の体験です。
草津白根山の湯釜周辺では、硫黄の香りと エメラルドグリーンの火口湖、そして周囲の紅葉が織りなす独特の景観を楽しむことができます。ただし、火山活動の状況により立入規制がある場合があるため、事前に最新情報を確認することが重要です。
榛名湖でのレイクビュー紅葉体験
草津温泉から車で約45分の榛名湖では、カルデラ湖ならではの雄大な紅葉を楽しむことができます。榛名富士を背景にした湖畔の紅葉は、まるで絵画のような美しさです。ボートに乗って湖上からの紅葉観賞も人気で、陸上からは見ることのできない角度から色とりどりの山々を眺めることができます。
榛名神社も必見スポットで、参道沿いの紅葉と歴史ある建物のコラボレーションが素晴らしいです。特に、本殿へと続く石段は紅葉のトンネルのようになり、神聖な雰囲気と自然の美しさを同時に感じることができます。
8. 福島・裏磐梯五色沼紅葉ルート
神秘的な湖沼群と紅葉のハーモニー
福島県の裏磐梯にある五色沼は、磐梯山の1888年の噴火によって形成された湖沼群で、それぞれ異なる色をした美しい沼が点在しています。10月中旬から下旬にかけて、周囲の山々が紅葉し、エメラルドグリーンやコバルトブルーの沼とのコントラストが絶妙です。
五色沼自然探勝路は約3.6キロメートルのハイキングコースで、毘沙門沼、赤沼、みどろ沼、竜沼、弁天沼など、個性豊かな沼を巡ることができます。それぞれの沼で異なる色合いの水面と紅葉を楽しめるため、写真愛好家にも人気の高いスポットです。
磐梯山周辺の温泉とグルメ
裏磐梯エリアには、磐梯熱海温泉や中ノ沢温泉など、良質な温泉地も点在しています。紅葉狩りで歩き疲れた体を、温泉でゆっくりと癒すことができます。特に、源泉かけ流しの露天風呂からの紅葉眺望は格別です。
地元グルメでは、会津そばや喜多方ラーメン、馬刺しなどの郷土料理が人気です。また、会津地方の日本酒も豊富で、紅葉を眺めながらの地酒の試飲は、大人の旅の醍醐味といえるでしょう。
9. 島根・奥出雲たたら街道紅葉ルート
歴史とロマンあふれる山間部の紅葉
島根県奥出雲町を走るたたら街道は、日本古来の製鉄技術「たたら製鉄」の里として知られていますが、秋の紅葉も見事です。10月下旬から11月中旬にかけて、中国山地の深い山々が燃えるような赤色に染まります。人里離れた山間部のため、静寂の中で紅葉を楽しむことができます。
鬼の舌震や船通山周辺では、特に美しい紅葉を見ることができます。鬼の舌震は奇岩怪石で有名な渓谷で、巨大な岩と紅葉のコラボレーションが圧巻です。約2キロメートルの遊歩道が整備されており、渓谷美と紅葉美を同時に楽しむことができます。
たたら製鉄の歴史体験と温泉
奥出雲たたらと刀剣館では、日本刀の原料となる玉鋼の製造過程を学ぶことができます。紅葉狩りと合わせて、日本の伝統技術に触れる文化的な体験も楽しめます。また、映画「もののけ姫」のモデル地ともされており、神秘的な雰囲気を感じることができます。
斐乃上温泉や亀嵩温泉など、美肌効果の高い温泉も点在しています。山間部の静かな温泉で、紅葉を眺めながらゆっくりと疲れを癒すことができます。地元の食材を使った会席料理も絶品で、島根和牛や奥出雲そばなどの地元グルメも堪能できます。
10. 熊本・菊池渓谷紅葉ルート
九州随一の紅葉の名所
熊本県菊池市にある菊池渓谷は、九州を代表する紅葉の名所として知られています。阿蘇外輪山の一部をなす渓谷で、11月上旬から中旬にかけて、カエデやモミジ、ケヤキなどが鮮やかに色づきます。清流菊池川の流れと紅葉のコントラストが美しく、「九州の奥入瀬」とも呼ばれています。
渓谷内には約1.2キロメートルの遊歩道が整備されており、天狗滝や紅葉ヶ瀬、流水プールなど、見どころが点在しています。特に天狗滝では、落差15メートルの滝と紅葉の組み合わせが絶景です。マイナスイオンをたっぷり浴びながらの紅葉狩りは、心身ともにリフレッシュできます。
阿蘇と組み合わせた九州縦断プラン
菊池渓谷から車で約30分の阿蘇エリアでは、草原の風景と紅葉を楽しむことができます。阿蘇五岳を背景にした大観峰からの眺めは壮大で、紅葉時期には山々が色とりどりに染まります。また、草千里ヶ浜では、広大な草原と阿蘇山の噴煙、そして周囲の紅葉が織りなす独特の景観を楽しめます。
黒川温泉や阿蘇内牧温泉などの温泉地も近く、温泉三昧の旅も可能です。熊本名物の馬刺しや阿蘇あか牛、だご汁などの郷土料理も堪能でき、九州ならではのグルメも満喫できます。
11. 東京・高尾山周辺紅葉ハイキングルート
都心から1時間の手軽な紅葉スポット
東京都八王子市にある高尾山は、都心から電車で約1時間とアクセスが良く、気軽に紅葉ハイキングを楽しむことができます。標高599メートルの山で、11月中旬から12月上旬にかけて美しい紅葉を見ることができます。ケーブルカーやリフトも利用でき、登山初心者や家族連れにも人気です。
薬王院周辺では、真っ赤に染まったカエデと歴史ある建物のコラボレーションが美しく、多くの参拝者と観光客で賑わいます。山頂からは、天気が良ければ富士山も眺めることができ、紅葉と富士山の共演を楽しむことができます。
御岳山・奥多摩エリアとの組み合わせ
高尾山と合わせて訪れたいのが、御岳山や奥多摩エリアです。御岳山では、武蔵御嶽神社周辺の紅葉が美しく、ロックガーデンと呼ばれる渓谷での紅葉ハイキングも楽しめます。奥多摩湖周辺では、湖面に映る紅葉と奥多摩の山々の景色が素晴らしいです。
これらのエリアでは、東京とは思えないほど豊かな自然を楽しむことができ、日帰りでも十分に満足できる紅葉体験が可能です。多摩川源流域の清らかな水で育った川魚料理や、地元産の野菜を使った料理なども味わえます。
まとめ:秋の国内旅行で最高の紅葉体験を
日本の秋は、四季の中でも特に美しい季節の一つです。今回ご紹介した10のルートは、それぞれ異なる魅力を持つ紅葉スポットばかりです。関西の古都の風情、富士山との絶景コラボレーション、山岳地帯でのトレッキング、歴史と文化の融合、温泉との組み合わせなど、様々なスタイルで紅葉を楽しむことができます。
紅葉の見頃は気候条件によって毎年若干変動するため、出発前には最新の紅葉情報をチェックすることをおすすめします。また、人気スポットは混雑が予想されるため、平日の利用や早朝・夕方の時間帯を狙うなど、時間に余裕を持った計画を立てることが大切です。
秋の澄んだ空気の中で楽しむ紅葉狩りは、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な体験です。カメラを持って、大切な人と一緒に、または一人の時間を楽しみながら、日本の美しい秋を満喫してください。きっと心に残る素晴らしい思い出となることでしょう。
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